
デザイン思考の道具箱: イノベーションを生む会社のつくり方 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: 奥出直人
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/11/08
- メディア: 文庫
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Amazonさんより。
★感想★
「デザイン思考」ついて基礎の考え方から、具体的方法、練習方法まで満遍なく記載されており全般的に学べるものであった。「デザイン」は単にものを作ることではなく、人の考え方、生活様式さえも「デザイン」することができる。だからこそ技術が普遍化した現代で求められており、これができれば人を幸せにできるものであると感じられる。
【知識から創造へ】
従来の経営は効率性重視で非効率なことは削減し、より利益の出ることに集中するものであった。しかし、インターネットの発達により、それらの知識・手法はすぐに真似することができ他社との差別化が図りにくくなっていった。そこで重要なのは「創造性」であり、人々の心を掴み、感度させるモノを創造していく必要がある。そして、「創造性」とは方法であり、才能ではない。方法さえ分かれば誰でも創造性を発揮できる。
【「デザインする」とは】
デザインするとは単に商品の外観をデザインするように思われていたが、今ではビジネスでも利用され、「自分が普通に暮らしている日常生活を他者の目で眺めているところから始めて、何か新しいことを思いついたら、それを表現する構成を考えて、さらに最終的なスタイルを決定していく作業」と広義の意味になっており、デザイナーはこのプロセスの専門家である。
【創造のプロセス】
このプロセスは社会的背景や哲学的背景を踏まえた上でモノづくりへの考え方、つくり手の問題意識を表す哲学を考えるところから始めて、具体的に何をつくりたいかビジョンを決め、それをもってフィールドワークに行き、どのようなものをつくるかコンセプト/モデルをつくり、実際の設計デザインを行い、実証する。次にビジネスモデルを構築して、実際の運営方法を決定する。
※注意
●利益だけを求めすぎないこと
●特定のチームだけで行わないこと
●まずは作って試してみること
利益だけ求めれば、リスクがあるものには手を出さなくなり、特定のチームだけで行えば新しい考えは浮かばない。利益だけでなく、ユーザーのニーズ、最新の研究などトータルに考え、他部門と協力を積極的に行うこと。そして、新しい考えが浮かべばとりあえず試してみる。作ってみて、試して分かることはとても多い。
哲学とは?
創造のプロセスでの哲学とは、社会的背景やつくり手の経験を含めた「問題意識」である。何かモノを作ろうとするとき、個人の生き方、社会のあるべき姿、社会文化的に意義のあること、「こうありたい」という想いを踏まえて、何のためにつくるのか、なぜつくるのかを問いかけ、肯定文で表すこと。
ビジョンとは?
「何を実現したいのか」を一言で表したもの。社会的にも自分にも魅力的なものでなければならない。
フィールドワークとは?
現場に行き観察、体験すること。ユーザーの経験を体験することでニーズを発見できる。
コンセプトとは?
ビジョンを達成するための基本概念。方向性、未来予測、哲学、アイデアに加えて技術予測を加えたもの。出来上がったものを一言で説明できるような形にする。
モデルとは?
コンセプトに含まれる仕組みを明確化、立体化して、物理的に体験できる形にしたもの。基本構造で最初の設計図。
【創造のプラクティス】
①経験の拡大
基本はフィールドワーク。他者の目線で、他者の生活の一部を経験し本来のニーズを発見できるように練習する。ただ経験するのでなくいつもの違う視点で考え、見て、聞いて、体験できることを意識する。
②プロトタイプ思考
考えたらまず作ってみる。作りながら考える。作って失敗し、そこから多くを学べるよにする。作らないければ失敗しないという考え方。簡単に仕組みで、実物大の空間だけでもすぐに作ってみること。
③コラボレーション
チームを単につくることでなく、共同で作業する時間を作ること。異なる背景、知識を持った者が集まり、共同で作業し、多角的につくることが基本。
☆今から1秒後にできること☆
●いつもと違う場所、ことに行ってみる、試してみる。
●自分なりの哲学、ビジョンを考える。
●他社、他部門の人と交流してみる。
●自分の生活スケジュールを自分なりの哲学、ビジョンに基づきデザインしてみる。
以上です。
アクセスして頂きありがとうございます。
※紹介した内容は著書の一部であり、私個人の解釈で記載しています。